古くからの商店街がアートの街に変身した。
深川資料館通り商店街は地下鉄大江戸線清澄白河駅がある清澄通りと東京都現代美術館を結んでいる。かつては江東区役所通り商店街であった。しかし、昭和49年に江東区役所が東陽町へ移転。区役所前の商店街としての賑わいを失ったが、昭和62年に江東区役所の跡地へ深川江戸資料館が完成したため、現在の名称となっている。その後、平成7年(1995年)に東京都現代美術館が開業。衰退する商店街が全国に数多く存在するの中で、深川資料館通り商店街は東京都現代美術館への通り道であることを活かした地域づくりを行っている。その一つが平成10年にスタートした「かかしコンクール」だ。
地元小学校や幼稚園をはじめ、区内外から応募されたかかしは約900メートルの商店街・左右の歩道に等間隔に展示されるため、見物客は商店街の端から端まで往復をする。作品は今年の出来事や流行を取り入れたものが目立ち、美術館の街ということもあり、アート感覚に優れたものが多い。回を重ねるごとに秋の風物詩として定着し、応募数は180体(2017年)にまで増加した。商店街の組合員による手作り催事ながら美術館の街として商店街の顔づくりに役立っている。東京都現代美術館には清澄白河駅からのルートと木場駅からのルートがあるが、今では、圧倒的に清澄白河駅からのルートが知られるようになり、地域に賑わいを生み出している。商店街を去った小売店の跡には、アートギャラリーや美術書を取り扱う書店が生まれている。
低予算の手作り催事であっても、地域の強みを生かしたコンセプトが明確であれば、大きな効果を生み出すのだ。
都市農村交流課 プロデューサー 石井和裕