定着した地域産品ブランドは、地域に安定した収益をもたらすが、長期的に見ると停滞し、次第に縮小していくことは避けられない。そこで、地域産品ブランドのリニューアルや拡大を図る必要が生じる。最近では、山梨県甲府市の銘菓として知られる桔梗屋の桔梗信玄餅が、地域産品ブランド商品の拡大に成功している。
桔梗信玄餅は多くの人に愛される山梨の代表的な銘菓。桔梗屋は“ふるさとの味”をコンセプトに、手作りの味わいにこだわって製造・販売を続けている。小さな容器にきな粉をまぶした3切れのお餅が入っており、特製の黒蜜をかけていただく。土産の定番品だ。しかし、いつ、若い世代に受け入れられなくなってしまうかわからない。桔梗屋は、まったく新しい菓子を開発するのではなく、桔梗信玄餅のブランド力を活かした商品のバリエーションを続々と誕生させた。
桔梗信玄餅生ロール、桔梗信玄生プリン、桔梗信玄餅アイス、桔梗信玄餅クレープ・・・。いずれも、桔梗信玄餅でおなじみとなった濃い黒蜜と自家製粉の挽き立てきな粉、そして信玄餅を使った商品。また、甲府駅に隣接する甲州夢小路にカフェ業態店舗「黒蜜庵きなこ亭」を開業。見た目にもボリューム感のあるドリンクとデザートをメニュー化した。これが若い世代に人気となって、桔梗信玄餅の人気も再び高まることとなった。
定着した地域産品ブランドは、美味しさや安心の約束がある。その強みを上手く生かすことで、古くからのブランドはさらに強固な約束を消費者と結ぶことが出来るのだ。
都市農村交流課 プロデューサー 石井和裕

桔梗信玄餅パフェ