蔵の街は市民の力で維持されてきた。
埼玉県川越市は、明治時代の川越大火にも耐えた蔵が多く残っている。歴史を感じる街並みは「重要伝統的建造物群保存地区」に指定され、「美しい日本の歴史的風土100選」に選定されている。川越市には小江戸の風景を求めて多くの観光客が来訪する。
川越市では平成29年度の協働委託事業として「こえど市民活動ネットワークづくりプロジェクト」と称し、市内の各市民活動団体が緩やかにつながるきっかけとなる市民活動支援講座、ワークショップ、情報紙の発行等を委託団体(NPO法人アートバーブズフォーラム)と協働して行っている。「地域づくりワークショップ」「市民活動支援講座」「市民活動交流イベント」を開催し、情報誌で情報発信している。
川越市は、この活動を通して、川越市民に、地域づくりの事例研究、地域の課題研究を行う気づきの場を提供し、ワークショップを通じ、地域づくりへの関心を高めている。市民同士の情報交換・交流が活発化し、川越市は古い街並みを維持しながら、市民の新しい取り組みを拡げている。
川越市のタグラインは「時が人を結ぶまち」。街並みの保存も、実は全国に先駆けて地域の若手の商店主の団体が発端を起こして行われたこと。元来、子どもからシニアまで、世代間の交流も盛んな地域なのだ。良き伝統を次の世代に結ぶ人材育成が、この地域を支えている。
都市農村交流課 プロデューサー 石井和裕