地域産品ブランドが地域活性化に役立つ
青森には大小さまざまな酒蔵がある。しかし、今や、青森の酒と言えば、日本酒ではなくシードルと答える人も多い。シードルはりんごを発酵して造る酒。「アオモリシードル」が注目されたのは、東北新幹線新青森駅開業に合わせて2010年に「A-FACTORY」がオープンしたことが発端だ。「A-FACTORY」はシードル工房、販売店、飲食店の複合施設。青森駅東口の通称「青森ウォーターフロントエリア」と呼ばれる青森ベーブリッジ高架下周辺に、JR東日本グループの行う地域活性化の「地域再発見プロジェクト」一環として青森駅前に誕生。青森県で伝統的に栽培されるりんごを活かした「アオモリシードル」をデビューさせた。
新たなブランドは、知名度を高めるにつれて、単なるいち企業の地域産品の枠を越えた効果を生み出している。ガラス張りの工房は、シードル醸造工程の一部を見学可能。駅前という立地の良さもあって、多くの観光客が集まる交流拠点となっている。「アオモリシードルができるまでツアー」も催行されている。1950年代からシードルを造っていた弘前市は2014年4月に弘前市をハウスワインシードル特区に認定。弘前市を「シードルの街」として宣言。行政主導で農商工連携を推進している。2017年にはニッカウヰスキーが、青森県産リンゴ「トキ」を使ったスパークリングワイン「ニッカシードル・トキりんご」を発売。シードルは青森県の地域産品として認知され、市場を拡大し続けている。県内の雇用創出をはじめ、大きな経済効果を生み出している。
「アオモリシードル」単なる集客施設でも、いち企業のブランドでもない、枠に収まらない存在。大きな広がりが地域を活性化している。
都市農村交流課 プロデューサー 石井和裕

アオモリシードル