地域活性の起爆剤になるのは「よそ者、若者、ばか者」といわれる。
唐澤秀さんは2008年に茨城県鹿嶋市で新規就農、自然栽培を始める。「鹿嶋パラダイス」という農業ブランドで活動。ブランドを牽引するのは3,360円/kgの値を付けたこともある自然栽培天日干し米。東京都心部の小売店で販売され話題になった。唐澤さんは米に加えて、野菜、干し芋などの加工品を販売。都心の飲食店での取り扱いが増えて評判が高まると、2012年には鹿島神宮の参道に販売店とカフェを開業した。「この世にパラダイスを!関わる人の人生をパラダイスにする」ことを使命とし、美味しさを求めて多様に活動。2016年には、とうとう醸造免許を取得し。カフェをビアレストランを備えた醸造所とした。鹿島神宮の御神水を使用したクラフトビールの製造を開始。「パラダイス・ビア・ファクトリー」として開業すると、美味しさが評判になる。鹿嶋市内の畑でビール麦の生産も始め、ホップは個人宅などの協力を得て栽培する「ホップグリーンカーテンECOプロジェクト」で調達。あらたな鹿嶋市の名物となりつつある。
「パラダイス・ビア・ファクトリー」に常連客が付くと、団体観光客の減少などで空き店舗の目立った鹿島神宮の参道に人通りが増えて活性化しはじめる。周辺の店舗もリニューアルが進み、地域に賑わいがよみがえりつつある。既成の概念にとらわれず、貪欲に活動する農家一軒の存在で地域が変わることがある。
都市農村交流課 プロデューサー 石井和裕