「ジャパンカップ」であることに意味がある。
前橋市、尾道市、富山市、等々、自転車の街を呼ばれる地域は全国にたくさんある。しかし、「日本一の自転車の街はどこか?」と質問されれば「宇都宮」と答える人が多いのではないか。栃木県宇都宮市は「日本一の自転車の街」として全国に知られている。
なぜひ、宇都宮市が「日本一の自転車の街」となったのか。宇都宮という地名は、自転車マニアに特別の響きを与えている。なぜなら、宇都宮市では、毎年、アジア最高峰の自転車レース「ジャパンカップ」が開催されるからだ。海外の強豪選手や全国からのロードレースファンが多く集まる。21世紀に入り、日本国内でも自転車レースが注目されるようになってきたが、「ジャパンカップ」を最初に開催したのは1992年。注目を集めていないどころか、まだ自転車レース=競輪という印象がとても強い頃。そしてJリーグが開幕する1年前の、まだ、日本のスポーツマーケットが花開く以前の、つぼみの時期であった。
全国にたくさんある自転車の街と宇都宮市との別格の違いは、国内最高峰の国際レースを、いち早く招致したことにある。「宇都宮カップ」ではなく「ジャパンカップ」であることに意味がある。先見の目で、わかりやすい日本一、日本唯一の事実を作り上げることが重要だったのだ。
都市農村交流課 プロデューサー 石井和裕

JR東日本 宇都宮駅に設置された観光案内所もジャパンカップ一色。