menu

桜まつりにオンリーワンの独自価値を

和船の本格的な運行が桜まつりを変えた深川

桜まつりが全国各地で無数に開催されている。多くは観光協会の大きな事業収入源となっている。観光地や城址で開催する桜まつりは規模が大きく、多くの観光客を集める。しかし、これといった特徴のない地域の桜まつりは、地元の人が集まる域内交流であり、地域の外から観光客の来訪を促進することがなかなかできないのが現状だ。

東京都江東区に流れる大横川は江戸時代に湿地帯が埋め立てられたとき運河として開鑿された川。川の左右は桜並木となっている。とはいえ、上野公園等と比較すれば、桜の本数が特別に多いわけではなく、花見の宴会をする大きな公園があるわけでもない。この地域の桜まつりも、かつては全国各所にある小さな桜まつりにすぎなかった。

今、「お江戸深川さくらまつり」の目玉になっているのは和船。週末はフル回転で観光客を乗せて運行している。大横川は、江戸時代につくられた運河であるため川幅が狭く、和船が桜のすぐ横や花の下を通ることが出来る。そのため、和船に揺られて江戸情緒に浸りながら、間近で桜見物を楽しめることが評判となっている。船での花見といえば有名なのは隅田川の屋形船だが、同じ和風の船であっても屋形船は動力船。しかも隅田川は川幅が広い。狭い大横川の手漕ぎ船とは、見える桜の印象が大きく異なるのだ。

和船という、ここでしか味わえないオンリーワンの魅力を加えることで、今では、「お江戸深川さくらまつり」は多くの観光客が訪れる賑やかな桜まつりとなっている。

都市農村交流課 プロデューサー 石井和裕

江戸和船の技術を伝承する「和船友の会」による100%手漕ぎでの遊覧。

地元のシニアを中心としたボランティアによって運営されている。

お電話でのお問い合わせ

03-5232-6866

WEBからのお問い合わせ

お問い合わせフォームへ

関連記事

  1. 武蔵小杉人気の根底に残る土地の記憶

    高価格帯のタワーマンションがここに建つ理由があった。タワーマンションが建ち並ぶ武蔵小杉は「住みた…

  2. なぜ宇都宮市は餃子の街になったのか。

    「餃子でまちおこし」には根拠があった。餃子の本場である中国北東部に駐屯していた陸軍第14師団の本…

  3. マルシェだからできるテストマーケティング

    人気のマルシェに意欲的に出展する自治体が増えてきている。自治体は何を目的としてマルシェに出展する…

  4. キャッチフレーズで何を伝えるか

    独自価値をイメージできるキャッチフレーズか?日本全国の自治体や地域は競い合う時代になっている。限…

  5. 大きく出てみる。

    大きいことは良いことだ。「大きいことは良いことだ」。千葉県勝浦市では2月から3月にかけて、地域を…

  6. 地域づくりはコミュニティづくり

    街づくりの集大成は神社の復活だった日本橋が変わった。平日はビジネスマンが行き交い、休日は百貨店に…

  7. いま再びブームの兆し!? 地域通貨って、いったい何?

    国を挙げての「キャッシュレス化」の推進が地域通貨復権の追い風に!?最近、スマートフォ…

  8. 地域アイデンティティを視認するアイコンを史跡から

    「足たび 学び舎のまち足利」を伝える漢字2文字栃木県足利市は、室町幕府を開いた足利氏発祥の地。八…

PAGE TOP