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いま再びブームの兆し!? 地域通貨って、いったい何?

国を挙げての「キャッシュレス化」の推進が地域通貨復権の追い風に!?

QRコード決済ばかりが話題になっているが…

最近、スマートフォンを用いたQRコード決済サービスが毎日のようにメディアを騒がせている。消費者にとってはクレジットカードを持つよりハードルが低く、小銭を持ち歩くことが不要になり、いちいちカードを出さずにスマホ1台で済む、加盟店にとってはクレジットカードより決済手続きが簡単で、決済手数料も安いことが魅力だ。

同時に話題に上るのは、日本はキャッシュレス決済の普及で遅れているという点。QRコード決済が広く普及した中国のキャッシュレス決済比率が60%、カード社会と呼ばれるアメリカの46%に比べ、日本は20%程度と大きく後れを取っていると言われている(2017年時点)。そこで、政府は「未来投資戦略2017」で10年後の2027年にはキャッシュレス決済比率をその倍に当たる40%にすることを目標に打ち出した。

キャッシュレスのメリットは、現金を発行したり、管理することで発生する膨大なコストと手間を大幅に削減できること。それに伴って、計算間違いや盗難などのリスクが下がる、蓄積された決済履歴が生むビッグデータがマーケティングや政策に活用できる、など多岐に及ぶ。

さて、問題は地域通貨である。地域通貨とは、円やドルなどの法定通貨ではないが、地域のコミュニティの中などで、特定の目的のために、法定貨幣と同等あるいは全く異なる価値が持つものとして発行され使用される貨幣のことで、概ね以下のような特徴を持つという。

・特定の地域内(市町村など)やコミュニティ(商店街、町内会、NPOなど)のみで流通する
・市民ないし市民団体(商店街やNPOなど)により発行される
・無利子またはマイナス利子である
・人と人をつなぎ、相互交流を深めるリングとしての役割を持つ
・価値観やある特定の関心事項を共有し、それを伝えていくメディアとしての側面を持つ
・原則的に法定通貨には交換できない

歴史は意外に古く、1830年代にロバート・オウエンが提唱した「労働貨幣」や1920年頃にシルビオ・ゲゼルが提唱した「スタンプ通貨」に起源があるという。そして、1929年の世界恐慌以降、通貨不足に陥ったドイツやオーストリア、アメリカなどで相次いで誕生した。その後、1980年代以降、地域経済の活性化や社会問題の解決などを目的に、LETS、タイムダラー、イサカアワーといった地域通貨が続々と登場していった。

そこから時間をおいて、1999年の東アジア通貨危機をきっかけに、グローバル経済における投機的な金融市場に対するアンチテーゼとして、日本でも地域通貨が注目されるようになる。それは「地域通貨ブーム」とも呼べる現象となり、2005年をピークに、一時は600超ともいわれる地域通貨が乱立することとなった。

しかし、これは一過性のブームに終わったといえる。隆盛を誇った地域通貨のほとんどが終了もしくは休止を余儀なくされている。その大きな要因のひとつが、地域通貨の発行や運営に関する費用負担の大きさだ。多くの地域通貨が紙幣を用いていたことで、その印刷費や流通経費、管理のための手間が膨大なものとなり、継続が難しくなったのだ。

多種多様な決済手段から地域それぞれの事情に合わせて選択することが重要

そうした状況に光明をもたらし、地域通貨が再び注目を集めるようになった契機が、キャッシュレス決済である。冒頭に述べたように、地域通貨の最大の課題である発行・管理に関するコストと手間を大幅に削減することができるからだ。実際にここ数年で、実証実験を含めて、地域通貨の導入事例が着実に増えてきている。

主な事例として、千葉県木更津市「アクアコイン」、東京都世田谷区「シモキタコイン」、東京都島しょ地域「電子しまぽ」、岩手県盛岡市「MORIO-J」などが挙げられる。

地域通貨は、継続のための大きな課題をクリアしただけでなく、地域内のみで流通するという特性から、地域のお金が地域外に流出することを防ぐという大きな効果を持つ。地域の課題としては、少子高齢化や過疎化ばかりが取り上げられるが、実はお金の都市部や他地域への流出も大きな問題なのだ。

キャッシュレス化は、観光客、特にインバウンドの利便性を高めるが、それを地域通貨で行えば、地域内の経済循環を向上させる。地域経済の活性化は自治体の税収増にもつながり、公共サービスの充実や地域振興の推進など好循環を生んでいく。

いまは、キャッシュレス決済普及の号令に隠れがちだが、その喧噪が落ち着く頃には再び「地域通貨ブーム」が訪れているのかもしれない。

地域づくりプロデューサー 益子博之

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