世界遺産のある街並みが現代風に復活
「富岡製糸場と絹産業遺産群」が世界文化遺産に登録され群馬県富岡市は人の流れが一変した。富岡市は、富岡製糸場を核としたまちづくりを進め「世界遺産にふさわしいまち とみおか」の実現を目指している。富岡製糸場の近くに富岡市役所はある。2017年に新庁舎が完成。世界遺産のある街並みとの調和を意識したデザインで、富岡製糸場の繰糸場と同様に越屋根から光を取り入れ、日射や雨から守る深い軒を採用した。設計は、歌舞伎座や新国立競技場の設計でも知られる隈研吾さん。隈研吾さんは市役所の目の前にある「富岡倉庫」も現代風のデザインとの調和をさせながらリノベーションし、観光客と市民が訪れる交流拠点として創出する。まさに、この一帯は世界遺産のある街並みの復活となる。
スターバックスコーヒーは、ただ飲料を売るのではなく、接客も含めた居心地の良い空間で、カスタマイズしたコーヒーを楽しめることを顧客に約束している。単なるカフェではなく「スタバ」という特殊な空間を提供しているのだ。富岡市の考えも、それに近いものがある。市民や観光客と、かつて、富岡製糸場が創った地域の大きな歴史資産を空間で繋いでいる。
地域ブランドを創るのは、食や観光スポットだけではないのだ。
都市農村交流課 プロデューサー 石井和裕

絹の糸をイメージした壁面

越屋根からの採光

富岡製糸場