地元が楽しければ外から人がやってくる。
「ガールズ&パンツァー」通称ガルパンは、戦車に乗った女子高生が、チームを組んでライバル校と対戦しながら全国優勝をめざす戦車道(剣道、柔道、茶道と同じような架空の文道・武道)のスポ根風の少女アニメ。その舞台となった茨城県大洗町はガルパンの街として全国に知られることになった。アニメ作品の中では実際の街並みを忠実に再現した風景が登場する。
アニメの舞台の「聖地巡礼」で多くのファンが訪れている。毎年11月下旬に開催されるイベント「あんこう祭り」とがルパンのコラボレーションは話題を呼び、以前の観光客が倍増した。アニメ作品の中で戦車が衝突して壊れる宿泊施設は、特に大人気に。従来の観光地から離れた商店街にも多くのファンが足を運んでいる。このガルパンの成功例を模倣しようと、全国各地の地域づくり担当者が注目している。しかし、地域づくりを目的にしてアニメを誘致する成功の方程式は無いようだ。
ガルパンの成功は制作会社がアニメーション制作(絵作り)をするために商店街の協力が必要だとして大洗町商工会に協力要請したことから始まる。ここには地域づくりの発想はない。「一緒になって何かファンをびっくりさせたい、楽しませたい」想いから、アニメ作品の中に、意外な街のシーンを登場させたり、商店街にアニメキャラクターのパネルを登場させたりしたことが重要だ。地元が楽しみ、その楽しみをファンに開放したことで、人気が拡散していった構図になっている。先行して取り組んだ店舗の成功例を真似して、新たな店舗、商店街が取り組みに参加。それがファンの間に話題となって広がっていく好循環だ。
地域づくりは地元づくり。PRは後からついてくる。まずは、地元が楽しめるか、自信を持って自慢できるかから始まる。ここでも「住んでよし、訪れてよし」の順番なのだ。
都市農村交流課 プロデューサー 石井和裕

地元の創意工夫でたくさんのグッズが開発されている。

商店街が楽しんで制作したグッズの数々。

駅には多数のキャラクターグッズが展示されている。

アニメ作品の中での優勝を祝す横断幕が駅に掲出されている。

バスの中にも県立大洗女子学園(アニメ作品に登場する架空の学校)の校章。