menu

女性観光客の増加をもたらした温泉アートエンターテイメント

「最古にして、最先端。」が街の景色を変えた。

愛媛県松山市は、年々観光客減少。最大の観光資源である道後温泉の入浴客数、宿泊数が減少していた。2017年に始まる長期間の道後温泉本館改修工事に先立ち、観光客増加を目的に実施されているのが、アートを使った観光プロモーション「道後オンセナート」だ。

「道後オンセナート」の主なターゲットは、20代から30代の女性。日本最古の温泉である道後温泉は恒例の観光客が多く、この年代の女性客数が少なかったことから、新規顧客を狙ってこの層をターゲットとした。アートを観光プロモーションに取り入れた理由は、以下の二つが挙げられる。ひとつは、SNSを頻繁に利用する女性客に、インパクトがあり、フォトジェニックな街の様子を情報拡散してもらうため。ふたつめは、女性に多くのファンをもつアーティスト(蜷川実花さん等)を起用することで、女性の関心を集めることができるためだ。

新規顧客を取り入れ、効果を最大にするるために3つの方針が立てられた。それが「メディアアートを加えること」「泊まれる作品をつくること」「街にアートを点在させること」だ。

メディアアートを用いる理由との背景には、ターゲット層である20代から30代の女性へのSNS(ソーシャルメディア)の普及がある。SNSを通して作品情報をネット上で拡散してもらうことで、さらに観光客を呼び込む狙いだ。泊まれる作品とは、壁面等にサーと作品を取入れた斬新な他にない宿泊先を提供することで宿泊を促す狙いだ。そして、街にアートを点在させることで、道後温泉エリアを回遊し、出来るだけ多くの宿泊施設や商店を訪問する機会を創出し、松山市の魅力に気づいてもらう。この観光プロモーションを開始した2014年から松山市の観光入込客数は増加。平成28年も27,455千人、前年比1.6%増という結果をもたらした。

日本最古の温泉の特徴である歴史性に現代的なアートの魅力を加えることで、20代から30代の女性の心を掴み、観光客増加に繋げることが出来た。

インターン研究生 高橋侑実

店舗や宿泊施設に設置されたのぼり。

宿泊施設のロビーに掲出されたアート作品。

老舗旅館の庭の建物の障子をアート作品に差し替え。

街角に立体アートを設置。

カフェにアート作品。宿泊客はアート作品を目指して自分の宿泊する宿泊施設以外の複数の宿泊施設を回遊する。

道後温泉のまちかどを描いたアート作品を壁面に投影。

重要文化財である道後温泉本館の掛け軸も差し替えられた。

お電話でのお問い合わせ

03-5232-6866

WEBからのお問い合わせ

お問い合わせフォームへ

関連記事

  1. 開花したばかりの大藤

    海外メディアの評価を最大限に活用する

    お墨付きを使って二次効果、三次効果を生み出す。あしかがフラワーパーク(栃木県足利市)は、栃木県内…

  2. 商店街の顔をつくり回遊を促進する手作り催事

    古くからの商店街がアートの街に変身した。深川資料館通り商店街は地下鉄大江戸線清澄白河駅がある清澄…

  3. DMO成功のカギは地域アイデンティティづくり

    何で地域の合意を形成していくのか?集客力を高めるDMO(Destination Marketin…

  4. 機能的なブランドデザイン開発

    コンセプトを見せるカタチにするのでブランドデザインブランドの由来は家畜の識別のために「焼印を押す…

  5. クリスマスイルミネーションで地域を表現

    富士山は誰のものかを主張「富士山論争」というものがある。山梨県が「富士の国」を自称し、静岡県は「…

  6. キャッチフレーズで何を伝えるか

    独自価値をイメージできるキャッチフレーズか?日本全国の自治体や地域は競い合う時代になっている。限…

  7. 民間の力で浸透する流山市の地域ブランド・アイデンティティ

    流山市は、なぜ「買って住みたい街」ランキング6位にまで躍進したのか?行政による地域ブランド開発で…

  8. 都心で食情報を発信する

    飲食店は情報発信の起点となる。地域の食の魅力(地域ブランド)を、どのような方法で消費地である東京…

PAGE TOP