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地域産品の強いブランド力を分解する。

地域資源の「3つの価値」と商品の競合優位性を高める「プロダクトコーン理論」

地域産品や地域産品を使った商品を販売するためには、その地域の「地域資源」を活かし、競合優位性を高めていく必要がある。そして、強いブランドに育成するためには、以下を分析し、明確化。強みを明らかにした上でブランド戦略を推し進めていくと効果的だ。

地域資源の「3つの価値」

基本価値 味や鮮度、品質などの基本的な価値のこと。この価値にお客さまが満足しなければ、ブランドとして成立しません。また、基本価値に独自性があればベストセラーも期待できますが、これだけではロングセラーにはなりえません。
情報価値 「棚田のお米」など、商品の情報にまつわる価値。「大間のマグロ(青森県)」など、地域名を情報価値に変えることで成功している事例もあります。情報価値を伝えるには、パッケージやパンフレットなどで継続的に発信することが必要です。
周辺価値 「イチゴ狩りに行った農園のジャム」などの体験や、「地域ならではのおもてなし」といった接客、店舗の雰囲気など、商品とは関係ないけれどお客さまには重要な価値のこと。地域でどのような価値を創造できるかを考え抜くことが大切です。

商品の競合優位性を高める「プロダクトコーン理論」

フィロソフィー 商品のコンセプト・哲学。レトルトカレーの開発を例にあげると、「漁師に人気の海の幸カレー」など、商品の核となるコンセプトを指します。
エッセンス 商品が持つ性格。レトルトカレーなら「高級路線」「健康路線(減塩など)」「希少路線(期間限定・数量限定など)」といった定義のことをいいます。
ベネフィット お客さまが得するコトやモノ。レトルトカレーなら「地域に行かなくても海の幸を味わえる」「日持ちがしてお土産にしやすい」などが考えられます。
スペック つくり手側の商品定義。レトルトカレーなら「シーフードカレー(種類)、○人前○グラム(容量)、消費期限○日」などがスペックに相当します。

峠の釜めしで考えるブランド化事例

峠の釜めしは1958年2月に販売が始まった、日本を代表する駅弁の一つ。信越線横川駅で生まれた。群馬県安中市にある「荻野屋」が製造・販売をしている。発売開始当時の常識を覆す、あたたかいまま食べられる画期的な駅弁。雑誌「文藝春秋」に掲載され、爆発的に売れて全国的に有名になった。この峠の釜めしを例にとって、地域資源の「3つの価値」と商品の競合優位性を高める「プロダクトコーン理論」を考えてみよう。

基本価値 家庭で愛情を込めてつくるお弁当そのままの工程で手づくりした味わい。厳選した素材はすべてサイトで公開している。

情報価値 皇室御用達のお弁当。皇太子殿下ご一家が軽井沢からご帰京の際には「特製・峠の釜めし」を召し上がることが恒例。

周辺価値 各店に観光バスが到着・出発する際、深々とお辞儀をする目迎・目送を行い、旅の疲れを癒すやすらぎと思い出を提供。

フィロソフィー あたたかく、地元の素材をたっぷりと使った豊かなお弁当。

エッセンス 地元の伝統食を連想させる、土釜をモチーフにした容器。

ベネフィット 車内でもあたたかいご飯が食べられる。土釜は持ち帰って再利用できる。

スペック 1個1000円。素材はすべて無添加。容器は保温性に優れた益子焼。

峠の釜めし

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